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GLOSSARY

アンティーク時計 用語辞典

ゼンマイ、天真、香箱。修理のご説明で使う言葉を、6カテゴリ76語にまとめました。
「それが何か」だけでなく「なぜ大切なのか」までわかるように書いています。

01 / GETTING STARTED

はじめての方へ

まず知っておくと、アンティーク選び・付き合い方がぐっと分かりやすくなる言葉です。

アンティーク
一般に製造から100年前後を経た時計(定義には幅があります)。現行品にはない造りや表情が魅力で、状態は一本ごとに大きく異なります。
ヴィンテージ
アンティークより新しい、おおむね数十年前の時計。実用しながら楽しむ方が多い世代です。
オールドモデル
現行の前の世代にあたる旧型。部品供給が終わっていることがあり、修理は技術と在庫がものを言います。
デッドストック
未使用のまま長期保管されていた個体。状態は良くても油は劣化しているため、使う前の点検をおすすめします。使い始める前に、一度ご相談ください。
パティーナ
経年で生まれる文字盤や夜光の風合い。劣化であると同時に「味」として価値になることもあります。
経年変化
時間とともに進む劣化や色の変化。避けられませんが、手入れの早さで進み方は大きく変わります。
個体差
同じモデルでも、使われ方や保管で状態は一本ごとに違います。だからこそ現物を拝見してのお見積もりが欠かせません。
国産アンティーク
セイコー・シチズンなど国内ブランドの古い時計。部品事情や設計を踏まえた整備が求められます。
舶来アンティーク
海外ブランドの古い時計。キャリバーや規格が多様で、加工対応の引き出しが必要になります。
02 / MOVEMENT & PARTS

機構・部品

時計の中で何が起きているのか。修理のご説明にもよく出てくる、中身の言葉です。

ムーブメント
動力から針までを動かす機械部分の総称。状態の良し悪しは、ここで決まります。
キャリバー
ムーブメントの型番・設計の呼び名。同じブランドでも構造や部品が異なり、修理の難易度も変わります。
手巻き
リューズを手で巻いてゼンマイに力を蓄える方式。アンティークに多く、毎日の巻き上げが習慣になります。
自動巻き
腕の動きでローターが回り、自動でゼンマイを巻く方式。部品が多く、整備の要点も増えます。
ゼンマイ
巻き上げて力を蓄える帯状のバネ。古い個体では切れていることが多く、交換が必要になります。
香箱こうばこ
ゼンマイを収める箱状の部品。動力を蓄える要所で、壊れやすく費用がかかりやすい箇所のひとつ。
テンプ
ヒゲゼンマイとともに一定のリズムで往復運動し、時計の進み方を調整する部品です。
ヒゲゼンマイ
テンプの振動を生む、髪の毛ほどの細いバネ。わずかな歪みが精度を左右し、調整には熟練を要します。
天真てんしん
テンプの中心にある細い軸。衝撃や経年で曲がる・折れることがあり、古い時計では交換部品が手に入りにくく、高度な加工が必要になる場合があります。
ホゾ
歯車などの軸の先端。受け石と接して回り続けるため摩耗しやすく、油切れの影響が最初に出やすい箇所です。
穴石あないし
ホゾを受ける小さな石(ルビーなど)。摩耗すると軸がぶれ、精度や寿命に影響します。
地板じいた
すべての部品が載る土台の板。歪みや腐食があると、組み上げても精度が出ません。
受けうけ
歯車などを上から押さえる部品。軸を正しい位置に保ち、スムーズな回転を支えます。
輪列りんれつ
動力を針まで伝える歯車の連なり。一つの摩耗が全体の噛み合わせに響くため、まとめて診ます。
ガンギ車がんぎぐるま
脱進機の歯車。アンクルと噛み合い、動力を一定のリズムで送り出します。
アンクル
ガンギ車を一定間隔で止めては放す部品。チクタクという動きの正体です。
脱進機だっしんき
ゼンマイの力を一定のリズムで逃がし、正確な運針を生む心臓部。ガンギ車とアンクルからなります。
ローター
自動巻きで回転し、ゼンマイを巻き上げる錘。軸の摩耗で巻き上げが弱くなることがあります。
03 / COMMON ISSUES

起きやすい不具合

古い時計に起きがちな症状です。当てはまるものがあれば、無理に動かさず一度ご相談ください。

油切れあぶらぎれ
注油した油が乾き、金属どうしが直接こすれる状態。放置すると摩耗が一気に進みます。止まっていなくても、点検をおすすめします。
摩耗まもう
部品がすり減ること。早ければ調整で済みますが、進むと部品の作り直しが必要になります。
振り角低下ふりかくていか
テンプの振れ幅が小さくなった状態。油切れや摩耗のサインで、精度にも影響します。
姿勢差しせいさ
時計の向きによる精度の差。大きいと調整や整備が必要なことがあります。
片振りかたぶり
テンプの振れが左右で偏った状態。ヒゲゼンマイの調整で整えます。
日差にっさ
一日に進む・遅れる秒数。アンティークは無理のない範囲で基準内に追い込みます。
巻き上げ不良まきあげふりょう
巻いても手応えがない・力が溜まらない状態。ゼンマイや巻き機構の不調が疑われます。
針ずれはりずれ
表示時刻と実際がずれる、針が当たるなどの不具合。取り付けや輪列の点検が要ります。
リューズ抜けりゅーずぬけ
リューズが抜けた状態。無理に押し込まず、そのままお持ちください。
風防の曇りふうぼうのくもり
風防内側の曇りは、浸水やパッキン劣化のサインのことがあります。曇りが出たら、早めにご相談ください。
文字盤のシミもじばんのしみ
湿気や経年で文字盤に出る染み。味として残すか整えるかは、価値も踏まえてご相談します。
浸水跡しんすいあと
内部に水が入った痕跡。錆や腐食につながるため、見つけたら早急な処置が必要です。
04 / SPECIAL REPAIR & CRAFT

特殊修理・加工

「部品がないので直せない」とよそで断られた一本に、道をひらく技術です。五十君商店が最も力を発揮する領域です。

オーバーホール
分解・洗浄・注油・組立・精度調整までを行う基本整備。数年に一度が目安で、長く使う土台になります。
穴詰めあなづめ
摩耗などで広がった軸受けの穴を、専用工具で適切な大きさに調整する加工。軸のがたつきを抑え、回転を安定させます。
ホゾ磨きほぞみがき
摩耗したホゾを磨いて整え、回転を滑らかに戻す加工。部品を替えずに性能を取り戻せる場合があります。
天真交換てんしんこうかん
曲がり・折れた天真を作り直して入れ替える高難度修理。部品がなければ製作から行うこともあります。
穴石交換あないしこうかん
摩耗した受け石を交換し、軸のぶれを抑える作業。精度と寿命の回復につながります。
ブッシュ入れぶっしゅいれ
広がった軸受けに小さな筒を入れて締め直す、古い時計らしい修理。
ヒゲ修正ひげしゅうせい
歪んだヒゲゼンマイを整える繊細な工程。精度を左右し、技術者の技量が表れます。
歯車修正はぐるましゅうせい
変形・摩耗した歯を整える加工。噛み合わせを取り戻し、動力の伝達を回復します。
歯車製作はぐるませいさく
失われた歯車を一から作る加工。「部品がない」一本に道をひらく、強みの核です。
香箱修正こうばこしゅうせい
傷んだ香箱を整え、ゼンマイの力を正しく溜められるようにする作業。
リューズ合わせりゅーずあわせ
失われた・合わないリューズを、当時の雰囲気に近づけて合わせ込む作業。
風防製作ふうぼうせいさく
既製品のない風防を作る・成形する加工。形状の特殊な古い個体に対応します。
文字盤リフィニッシュ
傷んだ文字盤を再仕上げする作業。価値への影響もあるため、要否は慎重にご相談します。
部品取りぶひんどり
同型の個体から部品を取って活かす方法。入手困難な部品を補う手段のひとつです。
05 / VALUE & ORIGINALITY

価値・オリジナリティ

「修理して価値が下がらないか」を考えるための言葉です。残すか整えるかは、価値も踏まえて一緒に決めます。

オリジナルダイヤル
製造当時のままの文字盤。手を加えていないことが、価値の評価で重視されます。
リダン
文字盤を後から再塗装・再印刷したもの。見た目はきれいでも、オリジナルより評価が下がることがあります。
当時物部品とうじものぶひん
製造当時に作られた部品。希少で、オリジナル性を保つうえで価値があります。
純正部品
ブランド純正の部品。価値の観点で重視されますが、古い個体では入手困難なことが多くあります。
サービスパーツ
修理向けに供給される交換部品。資産価値を考える際は、純正かどうかが評価に関わります。
社外部品
純正でない代替部品。実用修理で使われることもありますが、価値の観点では純正が好まれます。
ノンポリッシュ
ケースを研磨していない状態。当時のエッジが残るため、外装の価値で評価される要素です。
ケース痩せけーすやせ
研磨のしすぎでケースが削れ、形が痩せた状態。価値を損なうため、研磨は慎重に行います。
トロピカルダイヤル
経年で茶系に退色した文字盤。希少性から、かえって高く評価されることがあります。
リファレンス
モデルを識別する型番。年代・仕様の特定に使われ、価値判断の起点になります。
シリアル
個体ごとの製造番号。製造年代の推定や真贋確認の手がかりになります。
ギャランティ
購入時の保証書。箱などの付属品とともに揃っていると、資産価値が上がりやすい要素です。
正規品せいきひん
ブランドが正規に製造・流通させた本物の個体。当社は購入元を問わず、正規品であればお引き受けします。
06 / GENRES

代表的なジャンル

どんなジャンルがあるのか。集める・選ぶときの地図になる言葉です。

バブルバック
厚みのある裏蓋が特徴の、初期自動巻きの愛称。アンティーク入門の定番として人気のジャンルです。
ミリタリーウォッチ
軍用に作られた、または由来する時計。質実な造りと歴史背景でコレクター人気の高い分野です。
ドレスウォッチ
薄く端正な、装いに合わせる時計。シンプルゆえに状態と仕上げが価値を左右します。
クロノグラフ
ストップウォッチ機能を備えた時計。部品が多く構造が複雑で、整備にも相応の技術を要します。
手巻きクロノグラフ
手巻き式のクロノグラフ。機構の美しさで人気が高く、部品供給の面で修理難度が上がりがちです。
ダイバーズウォッチ
潜水向けの防水時計。古い個体は防水が失われていることが多く、点検が前提になります。
キングセイコー
セイコーの高精度を担った国産銘機。国産アンティークの代表格として支持されています。
グランドセイコー
セイコー最高峰のライン。古いモデルは精度調整・仕上げの技術が問われます。
オメガ シーマスター
オメガの長寿シリーズ。世代が幅広く、キャリバーに応じた整備が必要です。
ロレックス オイスター
防水ケース構造で知られるロレックスの礎。古い個体は専用の知識と部品事情が関わります。

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