「時計の秒針が目盛りとずれている」
「12時きっかりに合わせたのに、長針と短針がずれている」
「クロノグラフの針がずれてしまって計測できない」
腕時計の針ずれといってもさまざまな症状がありますが、自分で直せるものなのか、時計修理専門店に相談した方がいいのか、悩んでいる人もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、時計の針がずれる原因や、修理を依頼した方がいい場合の修理方法、費用などについて見ていきましょう。クロノグラフや電波時計の針ずれについても紹介するので、併せて参考にしてください。
バックラッシュや内部の不具合など針ずれを起こす原因とは?
故障ではない?微妙な針ずれを生じさせるバックラッシュ
さまざまある針ずれの症状のうち、時計の秒針が目盛りと微妙にずれて動く針ずれは、時計の構造上起こりうるもので、故障とはいえません。原因は、針を動かす歯車の構造にあります。
歯車と歯車の間には、ほんのわずかな隙間が設けられています。歯車同士が滑らかに動くために、隙間は欠かせません。この隙間部分を「バックラッシュ」と呼び、これがあることで、歯車に強い負荷がかかることを防いだり、各部品の誤差や熱による膨張のずれなどを吸収したりすることが可能となります。バックラッシュは、時計部品の寿命を延ばす役割を担っていますが、状況によって針ずれを生じさせる原因となります。
こういった針ずれは、秒針がスーッと連続して動く「スイープ運針」の機械式時計より、カチッ、カチッと1秒ごとに動く「ステップ運針」のクォーツ時計で、より感じることが多いかもしれません。また、クォーツ時計は、内部に歯車を回すモーターがあり、毎秒の回転速度に多少の誤差があることも、秒針のずれの原因となっています。小さなずれは異常ではありませんが、大きなずれがある時は、修正できる可能性があるため時計修理店にご相談ください。
短針や長針の針ずれは取り付け部分の緩みなど、内部の不具合の可能性も
バックラッシュ以外の針ずれの原因としては、針の取り付け部分が緩んでいるなど、時計内部に不具合が生じていることが考えられます。
例えば、内部部品の経年劣化もその一つです。特に、何年も使用している時計の場合は、針の取り付け部分が緩んでいて針ずれの原因となっていたり、歯車など構造部分の部品が不具合を起こしていたりする可能性があります。このような場合は、オーバーホール(分解掃除)を行い、原因を特定することをおすすめします。
購入してからそれほど日が経っていないケースの場合は、時計に強い衝撃を与えたり、落下させたりしたなど、針ずれの原因として思い当たる出来事はなかったでしょうか。時計は衝撃に弱く、見た目には問題ないとしても、内部で部品の破損や不具合が生じている可能性があります。この場合も、オーバーホールが必要となります。
いずれの場合も、購入店舗やメーカー、時計修理専門店など、原因特定は専門家に任せることをおすすめします。自分で修理しようと、無理に時計を分解するようなことは絶対に避けてください。
一般的な時計とクロノグラフの針ずれの対処方法や費用の目安
時計内部の不具合による針ずれはオーバーホールが必要なケースも?
時計内部の不具合による針ずれの原因はさまざまで、経年劣化による針の取り付け部分の緩み、油切れ、部品の消耗、破損、ゴミの侵入、歯車の不具合などの他に、時計を落としたりぶつけたりなど不注意によって起こることもあります。
針の取り付け部分の緩みが原因の場合は、取り付け穴のカシメ直しが必要となり、修理代金は4,000円~が相場です。再発の可能性がある場合や、そもそも時計に経年劣化が考えられる場合、針ずれの原因が時計を落としたりぶつけたりなど衝撃による場合、針ずれの原因が特定できない場合などは、オーバーホールが必要となります。時計修理専門店に依頼をする際は、必ず見積もりを取るようにしましょう。弊社「五十君商店」では、オーバーホールや修理の見積もりは無料で対応しています。
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クロノグラフの針ずれの原因と対処法について
クロノグラフとは、ストップウォッチの機能が付いた時計のことです。
クロノグラフの針ずれの場合、原因によっては自分で調整できることがあります。
ゼロ位置がずれている場合
ゼロ位置がずれている原因は、リューズを引っ張っている時にクロノボタンを押したり、電池交換した後にゼロ位置修正をしていないことが挙げられます。
ゼロ位置修正の手順の一例を紹介します。
(1)リューズを引っ張る
(2)クロノボタンを押す
(3)クロノ針が動くため、正しい位置に戻ったらリューズを戻す
時計の種類によって修正方法は多少異なる部分があるため、取扱説明書を読んだ上で、ゼロ位置修正を実行してください。ここで針が正しい位置に戻った場合、修理の必要はありません。
針の緩みが原因の場合
ゼロ位置の調整を行ったにも関わらず、改善が見られない場合は、スタート・ストップ・リセットを繰り返してください。毎回戻る位置がバラバラになってしまう場合は、針の緩みが原因である可能性が高いといえます。
「針の緩み=針が取れかかっている状態」といえます。このまま使用を続けることで、針が完全に取れてしまい、文字盤などに傷が付く可能性が考えられるため、すぐに修理を依頼してください。針の緩み調整であれば、一般的な費用は数千円からとなります。
リューズを引いてゼロ合わせをしようとしてもできない場合
ゼロ位置修正を何度も行ってもうまくいかない場合は、内部異常の可能性があります。針と歯車の位置ずれ、部品の摩耗、油の劣化などが原因であることが多いものの、オーバーホールしなければ原因を探し出すことはできません。オーバーホールが必要となった場合、相場は数万円程度。時計修理専門店へ見積もりを依頼し、早めに対応することをおすすめします。
【コラム】電波時計もずれる?!自分でできる基準位置の直し方
電波時計は、電波を受信することで自動的に正確な時刻に修正されるため、ずれは起きないと思われる方も多いでしょう。しかし、アナログ式の電波時計の場合は、ずれが生じてしまうケースがあります。
電波時計がずれを起こす理由と確認方法
●自動受信ができていない
まずは、電波の自動受信がうまくできているかどうかを確認してください。できていない場合は、強制受信を行うことで修正できます。
●磁気やノイズの影響を受けている
強い磁気を受けた場合やテレビやパソコンなどのノイズの影響を受けた場合、ずれが起きることがあります。取扱説明書を確認の上、針の基準位置を修正してください。
●時差修正が行われている
時差修正機能が付いている時計の場合、海外など時差がある国を訪問した際には、自動的に現地の時間に合わせる仕組みが働きます。しかし、帰国後、設定を解除していなければ、日本時間の電波を受信することができず、針ずれを起こしているかのように感じる可能性があります。
お手持ちの取扱説明書を確認し「基準位置合わせ」を行ってください。
強制受信、針の基準位置修正をしたにも関わらず、ずれが生じてしまう場合、磁気が原因であれば、磁気抜きを行う必要があります。また、その他の不具合が原因である可能性もあるため、専門店に修理を依頼することをおすすめします。
針ずれの原因によっては、オーバーホールが必要な場合も!
時計の針ずれには、構造上問題のないものから、針の取り付けの緩みなど単純なもの、歯車など内部部品の不具合でオーバーホールが必要なものまで、さまざまなケースがあることを見てきました。
針の緩みが原因の場合は、4,000円程度~の費用で修理することができますが、経年劣化による緩みや内部部品の不具合、衝撃による不具合が考えられる場合は、オーバーホールを行って原因を特定し、部品の交換や不具合部分の修理を行うことで、愛用の時計をより長く使うことができます。
大事な時計の修理・オーバーホールは、創業80年以上の歴史と、日本屈指の月間時計修理数1万以上の実績がある弊社(五十君商店)にお任せください。いつでもご相談を承ります。
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