文字盤の汚れの原因と修理について

腕時計の文字盤は、時計の顔といっても過言ではありません。できる限り、購入当時の美しい文字盤の状態を継続したいものです。保管方法に気を遣い、紫外線や湿度から守ることは、重要なことです。しかし、長く使えば使うほど、経年による劣化は避けられません。

ここでは、文字盤の汚れの原因や故障の原因、さらに文字盤を少しでも長く、美しく保つために気を付けたいポイントについてご紹介します。また、定期的なオーバーホールがもたらしてくれる効果についても併せてお伝えしていますので、ぜひ参考にしてください。

文字盤の汚れの原因と対処方法

文字盤の汚れの原因は?日焼けや湿気

時計の文字盤が汚れていると感じるのは、錆や変色によるものがほとんどです。その主な原因は、日焼け・浸水(湿気)です。特に、アンティーク時計のような昔の時計は、現在の時計に比べ、防水性能が低いことがあり、湿気の影響を受けやすくなっています。また、購入当初の防水性能につきましても、経年とともに劣化している可能性が高くなります。

文字盤にゴミがある場合は、部品の摩耗や、またはリューズの操作中にごくわずかなスペースからミクロン単位で入り込んだホコリの積み重ねによる悪影響とも考えられます。この中には経年劣化も含まれるため、日常的に利用する以上、完全に文字盤の汚れは防ぐことができないと捉えた方がよいでしょう。

文字盤の汚れ・変色の対処方法

文字盤の汚れや変色は防ぐことができないとお伝えしましたが、症状が起きた際の対処法は存在します。まずは、文字盤そのものを交換することです。交換が難しい場合、部品の調達が不可能な場合は、文字盤再生(リダン)を行うことで対応します。詳しくは、後述でお伝えいたします

夜光塗料が剥れてしまったら?塗り直しできれいに

日常生活における暗い場所や、海底、洞窟といった光の当たらない場所においても、時計の視認性を高めるために使われているのが、夜光塗料です。
腕時計では、暗闇で針が光るなど夜光塗料が使われているモデルが数多く存在しています。

夜光塗料が劣化する原因

夜光塗料は塗料である以上、経年による劣化は避けられません。最も大きな原因としては、直射日光による紫外線が考えられます。腕時計である以上、家の中だけで使用するケースはごくまれです。コレクションとして飾っておく場合は別ですが、日常的に腕時計をお使いいただく場合には、紫外線を完全に避けることは難しいでしょう。

また、浸水や湿気などの影響から、夜光塗料が剥がれるケースもあります。一部分のみ、全体など、剥がれ方にもさまざまな状況が考えられます。

夜光塗料劣化の対処法

夜光塗料が取れてしまった、ヒビが入って割れてしまったといった場合は、夜光塗料の付け直しが必要となります。レジスターリング(ダイバーズウォッチなどに付いている逆回転式ベゼル)や針の塗料の再塗布も可能です。

夜光塗料の塗布は、繊細な作業であり高度な技術が求められます。付け直しをご希望のお客様は、時計修理専門店へ依頼をおすすめいたします。

>夜光塗料の付け直しが必要となるケース

文字盤の位置がずれる原因・修理方法

前述しましたように、文字盤の汚れにはさまざまな原因があり、それぞれの対処法が存在します。ここでは、次にご相談の多い文字盤に関するトラブル、文字盤の位置がずれる原因と修理方法についてご紹介します。

文字盤の位置がずれる原因は?文字盤を支える足が折れている

ここで、文字盤の構造について、簡単に説明しておきましょう。文字盤を支えているのは、極小サイズの軸「文字盤足」、別名「干支足」です。文字盤の下にある2本の干支足が、文字盤を支える役目を果たしています。

しかし、干支足は消耗品であり、長く使い続けていると、折れや欠けが発生してしまいます。その結果、支えをなくした文字盤がずれてしまい、12時の位置がずれる、時間が見えづらくなるなどのトラブルにつながります。干支足の折れによる文字盤のずれは、早めの修理が必要です。

文字盤のズレを感じたら?大きな故障になる前に修理を

文字盤の数字の位置がずれている場合、干支足が折れ、折れた破片が内部に入り込んでいると考えられます。場所によっては歯車などの部品に引っかかったり、傷を付けたりする可能性もあります。文字盤がずれていることが判明した段階で、すぐに時計修理業者に修理を依頼しましょう。

ただし、干支足の場合、他の部品のようにはめ込む作業だけではなく、ロー付けやレーザー溶接が必要です。高度な溶接技術が必要とされるため、技術力の高い業者への依頼をおすすめします。

>文字盤足の新規作成・取り付け直しが必要となるケース

文字盤の交換ができない時計と文字盤再生(リダン)について

文字盤の位置のずれに対しての理由や対処方法について前述しましたが、中には、文字盤の交換ができないケースも存在します。

歴史ある古い時計になればなるほど、メーカーに問い合わせた際に断られてしまうケースは増加します。しかし実際には、文字盤の交換が不可能なほど、歴史ある時計を大切に使われている方は多いようです。
ただ、古い時計をお持ちの場合でもご安心ください。ここでは、文字盤の交換が不可能だとしても、現在愛用中の時計を使い続けたいとお考えの方向けに、別の方法についてもしっかりとご紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。

交換(部品調達)を行えない場合は?文字盤再生(リダン)で対処

文字盤の交換が必要となるケースは、次の通りです。

文字盤の錆・汚れ

文字盤はガラスに守られているため、直接外からの刺激により錆や汚れが生じるわけではありません。しかし、例えいくら防水機能完備の時計であっても、時計の内部は真空状態ではなく、空気が入っています。空気中の水分は、温度変化によって湿気に変わるため、錆の発生や汚れにつながるケースは多くなります。この場合は、研磨などで対処できないため、文字盤交換が必要となります。

文字盤の凸凹

文字盤自体は厚いガラスに覆われているものの、長期間の利用により、少しずつダメージを受けていきます。特に紫外線を浴び続けてしまうと脆くなります。その結果、軽い衝撃でも大きなダメージとなり、文字盤に凸凹ができてしまう可能性があるのです。

文字盤の変色

紫外線によって日焼けした文字盤は、色が変わります。一番分かりやすいのは、購入した当時白い新品の時計が、年月が経つに連れ、アイボリー、ベージュといった色に変わるパターンです。

また、アンティーク時計など歴史ある時計の場合、同じ文字盤がすでに廃盤になっており、見つからないといったケースも存在します。修理保証期間が過ぎている場合は、メーカーに問い合わせたとしても、対応は厳しいでしょう。

このように、残念ながら文字盤交換できない、または部品調達を行えない場合でも、新たに文字盤再生(リダン)という手法を施し、時計をよみがえさせることが可能です。

文字盤再生(リダン)とは

リダン(redone)とは、「やり直し」を意味する言葉です。文字盤のインデックスや塗装を剥がし、もう一度塗装やインデックスの取り付けを行う作業だと考えてください。新しい色に変えることも可能ですが、本来のオリジナル性が失われてしまうこともあります。そのため、文字盤再生(リダン)前と後の時計では価値が異なるケースがあることを理解しておきましょう。

しかし、文字盤再生(リダン)を行うメリットの一つが、視認性の向上です。時計である以上、時計そのものの価値も大切ですが、利用の際の使い勝手についても考える必要がありますので、注意しましょう。

文字盤再生(リダン)を依頼する際は、やはり信頼と実績のある時計修理店に依頼することが大切です。ぜひ、創業80年以上の歴史と、日本屈指の月間時計修理数1万以上の実績がある弊社(五十君商店)にご相談ください。

>文字盤再生(リダン)が必要となるケース

アンティーク時計にリダンは必要?

アンティーク時計の場合、文字盤再生(リダン)の必要性は、場所によって変わります。例えば、文字盤の色褪せであれば、年月の深さを感じさせてくれる一つの味といった捉え方ができるため、必ずしも文字盤再生(リダン)が必要とは限りません。特にアンティークな時計を好む人にとっては、必ずしも新品の状態に変えることをよしとしないためです。

一方で、アンティーク時計においても、文字盤再生(リダン)が必要となるケースがあります。それが「カビ」「錆」です。アンティーク時計は、手を加えないことが一つのステータスではありますが、カビや錆は放置してしまうと、時計の故障につながります。

お手持ちのアンティーク時計の状態をもう一度確認した上で、文字盤再生(リダン)の有無を考えるといいでしょう。

オリジナルの価値そのままに。文字盤をきれいに保つ方法

依頼主のオーダーに沿ったオリジナル文字盤を作成するカスタムリダンという方法もありますが、その成功は、時計職人の腕にかかっているといっても過言ではありません。特に、個人の好みを表現するカスタムリダンは、職人の腕の差が実際の文字盤の出来栄えを左右します。そのため、想像していた時計盤と異なるといったケースも少なくありません。

また、一般的には100%オリジナル、正規品の状態を好ましく感じる人が多いため、カスタムリダンを施すことにより、市場でのブランド価値が下がることを覚悟しておく必要があります。

やはり、純正品としてオリジナルならではの価値を保ちたいと考える人の方が多いのではないでしょうか。

オリジナルの状態を保つための方法は、「定期的にオーバーホールを行うこと」に尽きます。錆やカビなど、初期段階では分かりにくいものも、オーダーホールを行いプロの職人が確認することで、スムーズな対応が可能です。

文字盤をきれいに保つためにも、3~5年に一度は定期的なオーバーホールを行うことをおすすめします。
弊社では、オーバーホールも併せてご相談いただくことが可能ですので、ぜひご検討ください。

>オーバーホールについて詳しくはコチラ

時計の種類ごとに適した収納ボックスを多数扱っています。
腕時計の正しい保管・収納方法やおすすめグッズのご紹介も合わせてご参照ください。

>腕時計の保管・収納方法は?おすすめのワインディングマシーンや収納ケースなどをご紹介


まとめ

それでは、最後に文字盤の汚れの原因・修理方法について振り返っておきましょう。

  • ・文字盤の変色の主な原因は、日焼けや湿気によるカビ、経年劣化
  • ・夜光塗料にヒビや割れが生じた場合は、夜光塗料の付け直しの修理ができる
  • ・文字盤の位置がずれる原因は、文字盤を支える足(干支足)が折れているため
  • ・文字盤のずれに気付いたら、折れた干支足で他の部品を傷つける前に、早めの修理が必要
  • ・すでに部品の生産が終了していても、文字盤再生(リダン)で修理できる
  • ・純正品のよさや美しい文字盤をキープするためには、3~5年に一度は定期的なオーバーホールが重要

文字盤のずれや時計盤再生(リダン)、定期的なオーバーホールを依頼するときには、実績と信頼のある時計修理業者に頼む必要があります。
弊社は、80年以上の歴史と1万件以上の修理実績がありますので、あなたの大切な時計を安心して任せることができるでしょう。

>五十君商店への問合せはコチラ

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